不登校支援16年。僕が「支える」だけでは足りないと思うようになった理由
「不登校支援なんか、もうやめたい。」
本気でそう思ったことが、何度もあります。
16年以上、不登校の子どもや家族と関わってきました。
安心できる場所をつくる。
話を聞く。
学習を支える。
保護者と一緒に考える。
それでも、届かないことがあります。
安心できる場所ができても動けない。
学習支援を始めても続かない。
大人が励ますほど苦しくなっていく。
長く現場にいるほど、
「支えることだけで、本当に十分なんだろうか」
という問いが大きくなっていきました。
「正しい支援」をしても届かないことがある
不登校支援では、よく言われる言葉があります。
見守りましょう。
安心できる居場所をつくりましょう。
自己肯定感を育てましょう。
小さな成功体験を積みましょう。
どれも大切です。
僕自身も、必要だと思っています。
ただ、それだけでは届かない子がいます。
そこで僕が考えるようになったのが、
「この子に足りないのは、本当にやる気なんだろうか?」
ということでした。
子どもが「受け身になる構造」
学校では、多くの場合、
先生から出された問いに答える。
決められた時間に行動する。
決められた方法で学ぶ。
間違えないことを求められる。
もちろん、それ自体が悪いわけではありません。
でも、それが長く続くと、
「自分はどうしたい?」
よりも、
「正解は何?」
を先に探すようになる子もいます。
不登校の子どもたちと関わる中で、
僕は何度もその姿を見てきました。
「何がしたい?」
と聞いても、
「分からない」。
「好きなことは?」
と聞いても、
「別にない」。
自由になればすぐ動ける、というほど簡単ではありません。
長い時間、誰かの問いに答える側だった子が、
突然
「好きにしていいよ」
と言われても、動けないのは不思議ではありません。
必要なのは、「自分で考える側」に戻ること
だから僕は、
不登校支援の目的を
「学校へ戻すこと」
だけには置いていません。
もっと大きく言えば、
自分で考えて、自分で選んで、自分で動ける状態を取り戻していくこと。
そこを大事にしています。
これは、急には起こりません。
時間もかかります。
大人が答えを渡しすぎないことも必要です。
失敗する時間も必要です。
「何もしないように見える時間」に意味があることもあります。
AIとの出会いで見えた、新しい補助線
そんな中で、僕はAIを教育や支援の中で使うようになりました。
最初は、むしろ警戒していました。
答えを簡単にもらえるAIは、
子どもをさらに受け身にするのではないか。
考えなくなるのではないか。
でも実際に使ってみると、別の可能性が見えてきました。
AIは、
答えを与えるだけの道具ではなく、
問いを返してくれる相手
にもできます。
大人には言いにくいことを言葉にする。
頭の中にあるものを整理する。
何から始めたらいいか分からない時に、一緒に小さな一歩を探す。
使い方次第では、
子どもが「自分で考える側」に戻っていくための補助線
になり得る。
そう感じるようになりました。
Project ATOMは、その試行錯誤から生まれた
こうした現場での試行錯誤から生まれた実践の一つが、Project ATOMです。
ただし、僕にとって大切なのは「AIを使うこと」そのものではありません。
AIがなくても、
自然体験でも、
対話でも、
遊びでも、
ジャグリングでもいい。
大事なのは、
その子がもう一度、自分の人生の主語になること。
僕の活動は、全部そこにつながっています。
不登校支援を16年以上続けてきて、
僕は「支えること」を否定するようになったわけではありません。
むしろ、
支えるからこそ、その先を考えたい。
支え続けるだけではなく、いつか本人が自分の足で歩き出せるようにする。
今は、それが僕の考える支援です。

